<アルバムにコメントをいただきました!>(順次追加…最新2013.4.8up)
まるで66年のザ・フーのような爆発力を見せた前作「Dedicated
To The Rock'n'Roll Boy」から約2年、その歳月が彼らにもたらしたものの大きさを,今、実感している。そう、最新作「The
two faces of Children's Boogie」は前作のインパクトをしっかり保ちつつも、奥行きと深みが驚くほど増しているのだ。
デカい音やうるさい音を出すバンドなんて、そりゃもう星の数ほどいる。しかし、心を打つバンドはそんな中のほんの一握りしかいない。「爆発力」なんて、研ぎ澄まされた感性とバンド内の切磋琢磨があるからこそ生まれるものなのだ。はっきり言おう、ショットガン・ランナーズにはそれがある。だから、彼らの「爆発力」は心の奥底まで響くのだ。そして、彼らの音楽にはかつての英国を彷彿させる「魂」がある。60年代を気取りたいのなら、見た目を繕えばいい。なんなら「モッズ」というキーワードに当てはまる衣裳を片っ端からかき集めてくればいい。それをうまく纏えば一丁上がりだ。しかし、そんな仮面は音を出せばすぐに剥がれ落ちる。「芯」のないヤツはいくら体裁を整えても無駄なのだ。しかし、鈍く光る刃物のようなギターに疾走感と粘りを兼ね備えたリズム隊が絡み合い、大きなうねりを生み出す彼らのサウンドには、そんな浅はかさは微塵もない。
前作「Dedicated To The Rock'n'Roll
Boy」には絶妙のアンサンブルがもたらす、スロットルをひたすら踏み続けているようなパワーが全編に溢れていたが、冒頭でも触れたように「The
two faces of Children's Boogie」には、ぐっと表現力を増した彼らの姿がある。これは「ふたり」をテーマにしたコンセプチュアルな作品だ。もう完璧としかいいようのない、ドライヴ感溢れる「Differentday」。レイ・デイヴィスに捧げられたという「Ray」では、彼らのポップなセンスが光っている。思考をじわじわと撹乱させるようなインスト「離れ離れに」は意表を突く逸品だ。ひねくれたポップ「エミリー・ローズ」、ラーガ・ロックのムード漂う「いつか僕ら」もたまらなくいい。いや、もうこれ以上ネタバラしはやめよう。とにかく聴いてくれ、これは文句なしに彼らの最高傑作なのだから。
2013年3月
犬伏 功(音楽ライター)
<アルバム発売記念対談> KAZZY
WHEELMAN & KINGJOE
カズ:俺がショットガンを初めて見た時はR&Bバンドでジャンプをいかにキめるかしか考えてない様な奴らだったよ。そのジャンプも凄かった。8メートルは飛んでた。錯覚だろうけど。
ジョ:金沢だったね(笑)。
カズ:R&Bのダイナミズム。ジャンプ!フィードバック!オーバーアクション!(?)ソコを通り抜けないと今回のアルバム「The
two faces of Children's Boogie」には到達出来ないものが有ると思う。近道は許されないから。少なくとも俺は許しませんよ。
ジョ:そうですよ!
カズ:ショットガンランナーズを成長させたのは彼等に降りかかったトラブル。無関心な聴衆といったトコか。そうなると自分たちのブルースを歌える。まあ俺達より100倍人気あるけれどね。
ジョ:ですねですね。
カズ:ショットガンの三人から聞いた話でお気に入りのエピソードが有る。ツアー中に物販のCDをすべて盗まれたそうだ。機材を積んだバンの中で失意で気の抜けた三人は半分、冗談でコレクターズのMDをかけたそうだ。半分、冗談というのは、その頃、ショットガンは生意気になってたんだね。「ロケットマン」という曲なんだけどバンの中で大泣きしたって。やはり「これでもか」という位 凹まされないとさ。伝わらなかったり 歌うべき事がなかったりすると思うのね。前作も素晴らしかったけど新作は更に素晴らしいね。一生モンの新しい本を買った日の様な気分になるんじゃないかな。このアルバムを手にした人は。お気に入りのトコに線を引いて、いつも持ち歩く様な。
ジョ:うんうん。いま話に出たコレクターズの「ロケットマン」、どんな歌なの?
カズ:http://youtu.be/QUkQLF2ZS88
ジョ:(5分30秒後)おちこんでるときに聴いたらシンミリしすぎて泣いてまうねこりゃ。
カズ:引き合いに出してイイ話かわからんけどさ。三人の結束を強くした出来事だった気がする。このシーンはショットガンランナーズという映画が有ればカットされないだろう。
ジョ:映画でいえば中盤部分ね。
カズ:・・・ジョー!
ジョ:はい?
カズ:あいづちだけかい?!
ジョ:(以下ひと息で)さっきのカズの話に出たけど、今回のこのアルバムの完成にいたるまでのショットガンの艱難辛苦があったのは確か。機材車に荷物積めて全国の町から町へとライブして回ってた。半日かけて移動して、ライブ終わったらそのままトンボ帰りってのも何回も見た。ハタから見ても「なんて大変なんだろう」と思ってたよ。でもやめられないのがロック稼業というやつで。心身削りながら週末のギグに命かけてた。初期のショットガンはそれこそMODな初期衝動スタイリッシュにキメたグループで、超速いR&Bとスリリングなステージでキッズを魅了してた。その真骨頂が初期の名曲「I
LOVE YOU ROCK&ROLL」と思う。で「この調子でやり続けるのかな」と思ってたら、おととし、前作にあたるアルバム「DEDICATED
TO THE ROCK'N'ROLL BOY」をリリース。これはロックンロールソング集であると同時に「ロックンロールについての歌をロックンロールバンドが歌う」という、入れ子構造というかメタ的視点の芽生えがあったと思う。言い換えれば「作家性」というか。それがここにきて爆発したのが本作「The
two faces of Children's Boogie」や!タイトルにある「Two
faces of」はアルバムで歌われてる二人の、性格や資質が違うのを指してると同時に足りない2人がおぎないあって1つのバランスの取れた人格を形成する感じと受け止めた。フーが「四重人格」ってアルバム出してたの知ってる?そら知っとるわよね。だけんそれでいえば「二重人格」!
カズ:「RAY」って曲が有るね。これはRAY DAVISを指すからRAY&DAVE兄弟の関係を連想させるね。もっと深読みしたら二重人格かもしれない。答えは有るだろうけどソコは想像しましょうか。
ジョ:そう!それはこのアルバムの優れたトコのひとつ!すぐにわかる答えを出してるんじゃなくて、歌われてることを聞き手が想像して、その人しだいでいくつもの解釈が出来るところ。アルバムのテーマとなる「二人」というのも、友人かもしれんし兄弟かもしれん。もしかしたら親子、恋人という風にも取れるじゃない。ジャケに描かれてるのはカワイイ二人の男の子やけど、愛の形のバリエーションはいろいろあるしね。ぐぐっと表現力を増したバンドのアンサンブルも素晴らしい!ぱっと聴いてケメのギターとわかるあの音色もちょっと他にない。
カズ:インストのナンバーはそこに自分の想う人のストーリーを足して下さいという事だろうな。
ジョ:聞き手の解釈にゆだねるというわけね・・・ふところが深い。
カズ:バンド・アンサンブルでいえばテリーのドラミングが荒々しいけれどメロディーとして認知出来るほど出てるね。ナイーヴなテーマを良い意味でロックにしてる。
ジョ:ですよね〜。
カズ:ちなみにゴーのベースは俺のPCのスモールスピーカーじゃ分からないんで早くCDを聴きたいな。
ジョ:ベースも歌っとるよ。
カズ:(インスト曲 離れ離れに)俺も一緒に歌ってるよ。
ジョ:♪ドッドドンドゥ〜ンドゥ〜ン、ピュン!ピュン!
カズ:バイオレンスとナイーヴさが同居した11ナンバーズ。二重人格だな。聞き手の解釈に任せると云っても説明しないだけで答えは有るだろう。散々俺達が話してる事ですら正解じゃない。
ジョ:なんとか言葉で追いつこうとするんやけどね。尻尾をつかまえたと思ったらスルリと逃げてしまう。ユー・キャント・キャッチ・ミーと言われてるような気分でもある。
カズ:このアルバムを聴いた日にジョーはフーやキンクスの事に想いを巡らせて酒を大量に飲んだ。その気になったんだね。そしてレコード店に入りフーのレア盤2枚で3万を「来週、払いますわ!」とツケで持ち帰った。次の日は昼まで連絡つかなかったよね。
ジョ:あんまりにもこのアルバムが素晴らしくて、ショットガンがここまでの境地に達したことが誇らしくなっていてもたってもおれなくなったのよ。翌朝はひどい二日酔いやし机にたっかいシングルあるしで文字通りアタマかかえました。フーの「ラララライズ」イタリア盤と「ドッグス」国内盤。あとでお詫びになんか買って返しに行かなくちゃ・・・バカかおれは。
カズ:菓子折り代金はショットガンに払ってもらえよ。こんなグレイトなアルバムを創った奴らのせいだ。そう言ったら「地獄〜!」って云うかな。
ジョ:(側転しながら)てんごくぅ〜!!てんごくぅ〜(バック宙)!!
カズ:ケミーは札幌のMODS MAYDAYで「モッズもロッカーズもパンクスもスキンズもR&Rでなら一つになれる。」と言ったんだ。痺れたよ。
「The two faces of Children's Boogie」に皆、その手を重ねて欲しい。
ジョ:素晴らしい旅にでかけようぜ!!!!!
(2013年3月23日のサニーアフタヌーン)
SHOTGUN RUNNERSとは長い付き合いで、彼らの休止期間も含めて、紆余曲折も色々見て来たが、今確実に言える事は、もし彼らが世間的にモッズというジャンルに括られているのであれば、その狭きシーンを唯一モダンに出来ているバンドといえる。
1stアルバムからこの3rdアルバムまで色々と付き合わせてもらっているが、今尚進化している。
進化というのは「流行の...」とか、そういったものではなく、60年代が持ったであろう溢れる華やかさとそれぞれのブームが見せる終焉の儚さを進化としてとらえた部分だと思う。
進化したからと言って、新しい機材を使う訳でもなく、この3rdアルバム、「The
Two Faces Of Children's Boogie」は出来る限り当時の機材で録音している。それは俺個人のエンジニアとしてのマナーだ。
60年代のあの爆発的なサウンドはそれ以降退化した部分もあると思っているし、例えば60年代のサウンドを好むバンドが今の音で録音するというのは個人的にはとても違和感がある。3rdアルバムのレコーディングの相談を受けた時、「THE
SMALL FACESの後期みたいな感じ」という希望があった。2ndアルバムが出た後、俺もなんとなく次の録音は「イメージはTHE
KINKSやTHE SMALL FACESの60年代の後期作品」と思っていたので、
話は早かった。
楽曲のイメージも申し分なく、実際、ミックス・ダウンもほぼ一回で終わり、サウンド・メイキングにさほど時間はかからなかった。
SHOTGUN RUNNERSが持つ荒いドライブ感や切ないポップ感に対して、いい意味で「60'sサウンドの暴走感」を出せた気がする。
たまにケミーと冗談で、「お互い生まれる時代を間違えたかも(笑)」と話す。
間違えたとしたら、「初めて聴く人にとってはとても新しい」ってことかも知れない。
MR.PAN(THE NEATBEATS/GRAND-FROG
STUDIO)
荒々しさと疾走感、そしてナイーブな一面を併せ持つSHOTGUN
RUNNERSの最新作が愈々発売。
これまで同様、彼等のサウンドの源となる英国ロックのエッセンスが彼方此方に散りばめられているが大きく異なる事は、楽曲の内面性をより豊かに表現すべくギター以外のメロディー楽器が使われている事。勿論彼等の最大の魅力である破壊力のあるビートを損なう事なく、それを見事に共有させている。遥か40年以上前に用いられた手法で、完成された楽曲を聴くと彼等はいとも簡単に演奏している様に聴こえてしまうが、彼等が憧れ抱く音楽への理解と愛情が無いと成し得ないし、その思いが伝わる音楽は、もはや手法が古いか新しいかなどという議論は意味を成さないのだ。兎に角、これまでより一歩踏み込んだ彼等の作品に耳を傾けて欲しい。
鈴木やすし(ザ・トランプ)
「懐古趣味」という言葉を多用する人間に、どこをどう“懐古”してるのかを問うても説明する言葉を持ち合わせてない。音楽におけるある分野において狂ったように入れ込むことを“オタク”だ“マニア”だと片付ける輩もいるが、そういう輩は自分の不勉強と無知を棚に上げて、ロケンロー!っと酔っ払ってるに過ぎない。
ショットガンランナーズの神々しきこのアルバム。「終わらない60年代」がそのまま光を失うことなく続いて、今、この日本で展開された・・・・・・そんな作品だ。
ここで聴ける楽曲、サウンドは素晴らしき懐古であり、彼らは偉大なるマニアである。「ロックへの愛」という言葉は使わないでおこう。愛なんてあって当たり前だ。
もうひとつ付け加えるなら、このアルバムは私にとっては、ザ・ヘアである。私はザ・ヘアほど60年代、およびモッズの音楽、カルチャー、真髄を探求したバンドを他にしらない。それを受け継ぐ者が金沢にいた。ザ・ヘアはモッズシーンの中だけの伝説であってはならず、その偉大さは日本のロック史全体の中で語られるべきだと思う。そしてこのショットガンランナーズにも同じことが言えよう。正当に評価せよ。
Tsuneglam Sam (YOUNG PARISIAN)
色の薄いサングラスをかけてるオトコ・・・信用できる。VOXファントムの赤を選ぶオトコ・・・信用できる。前髪だけ短いオトコ・・・信用できる。つーか、バスドラムのヘッドにバンドロゴを描いちゃうようなバンドは、カッコいいに決まってるじゃん!
JEFF(オレンジズ)
僕ぐらいの世代は10代の頃、パンク・ニューウェーヴ期のネオ・モッズを通じて、60年代のカーナビー・ストリートに憧れを抱いた。そこは夢の様なファッションとリズム・アンド・ブルースが街中に溢れ、魅了された。
そして初めて観たショットガンランナーズのライヴでも全く同じ興奮が僕を襲った。
とにかく嬉しいのは彼らの音楽への情熱が当時のオリジナル・モッズと同様で、ソウルフル!
この新作「The two faces of
Children's Boogie」も当然その魅力に満ち溢れている。さらによりポップでサイケでフラワーでラーガな楽曲たちは、あたかも60年代後半のスウィンギング・ロンドンにタイムトリップさせてくれる最高傑作!
彼らこそ40年の時を経て、やっと現れた本物の国産60s英国・ビート・バンドだ。
サリー久保田(ザ・ファントムギフト/サリー・ソウル・シチュー)
世界を変えるにはふたとおりしかなくて。現実をねじふせる方法と、目をつぶり、耳をヘッドフォンで塞ぎ、こころの旅にでる方法。今回、ショットガンランナーズは後者を選んだようだ。ロックは本来1人で聴くもの。それを思い出させてくれるアルバム。
渡来宏明(ex.treeberrys,ワイカーズ)
10代のころから憧れていた、60年代黄金のスウィンギンロンドン。
SHOTGUN RUNNERSがたどり着いた場所は、TEENAGE
WASTELANDの向こう側!
そこがどんな場所かは、CDプレイヤーにこのアルバムを放り込んで、スタートボタンを押せば、きっと見えてくるよ。
ネモト・ド・ショボーレ(DECKREC)
キンクスのKontrovercy
のアルバム・ジャケのギター、クリエイションのEdsel編集ベスト盤ジャケ風のスタイリング。初めて観た時の十分過ぎるインパクト!ただそれだけでは済まされないのがこのバンドに引き込まれた理由なんだけどね。そしてそのこだわりはそのままでありながらも更に「深化」を遂げたこのブランニューアルバム。全くアタマが下がる思いですよ。
山下洋(Wack Wack Rhythm Band/Freedom
Suite )
かつてよく一緒にウロついた
友達や女の子を
思い出すかもしれない
レコード棚にあったはずの
何枚かのLPジャケットなんかを
思い出すかもしれない
過去とは美しかったり惨めだったりする
だから
憧れたり唾を吐いたり
オレ達は忙しい
ともかく
狙撃者達は今夜も何処かの
小さなステージで疾走する
それは
67年でもなく
90年でもなく
「今夜」なんだ
アレッシー(the geno)
88年頃、東京の古着屋やライブハウスで見聞きした60/70年代風の自由な空気を宿した、昭コラ(昭和コラージュ)で創られる甘い青春の詩とサウンドが印象的。
憧れのロックスターの写真とレコードが幾つ幾つも思い起こされ、収集と分析が割り切れずに好きという気持ちに甘く溶け合い、時間を忘れて心地好い虚栄心に浸れるブラボーなコンセプトアルバムに仕上がっている。
田中利孝(blluesdress)
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